天然石のモース硬度とは?|どのレベルまでが傷つきやすいのか

パワーストーン(天然石)を調べていると必ず登場するのが「硬度」です。正確には「モース硬度」です。
書いて字のごとく”硬さ”を数字で表現しているわけですが、少々誤解を招きやすい数字でもあるので詳しく説明しておきますね。
モース硬度は「頑丈さ」ではない
”硬さ”と聞いてどんなイメージをしますか?
硬ければ硬いほどハンマーで叩いても割れない!といった感じで頑丈なイメージを持つ方が圧倒的に多いと思います。
それではこれはどうでしょう。
庭で適当に拾った石と粘土があったとします。それぞれをハンマーで叩いたらどうなるでしょうか。
石は砕けてしまいそうですが、粘土は変形するだけで割れることはなさそうですよね。
硬いと衝撃に弱くなってしまうのです。
小学校の理科の実験で、鉄の”焼入れ”と”焼戻し”をしたことを思い出していただけると分かりやすいですね。
硬いと逆に粘りがなくなり、衝撃に弱くなってしまうわけです。
ですので、モース硬度が高いから衝撃に強くて丈夫というわけではなく、むしろ逆である場合が多いんです。
取り扱いには十分注意してくださいね。
そもそも”モース硬度”ってなに?
モース硬度とは1822年にドイツの鉱物学者フリードリヒ・モールスが考案した鉱物の硬度を表す基準です。
1~10まであって、数が多ければ”硬い”ことになります。
モース硬度10が最も硬い鉱物の称号となり、該当するのはもちろんダイヤモンドです。
鉱物同士を擦り合わせて、どっちが傷つくかを調べて数字を決めていきます。
傷ついた方の硬度は低く、傷つけた方の硬度が高いわけですね。
”衝撃に強いかどうか”ではないという点がポイントです。あくまでも擦り合わせたときどっちが傷つくかを見ているわけですからね。
また、前述したようにモース硬度は1~10だけしかないので、同じモース硬度5であったとしても同じ硬さとは言えません。
なんていうか、けっこう大雑把にざっくりと決められている感じですね。
モース硬度を分かりやすく置き換えてみると
モース硬度5!と聞いてもいまいちピンとこないですよね。
うーん、中間くらいの硬さ???って感じですが、具体的にどれくらいの硬さなのでしょう。
ばっちりイメージできるようにするには、ざっくりと覚えてしまえばよいと思います。
- モース硬度1:グッとつまむと変形するくらい
- モース硬度2:指の爪でがんばって傷つけれるくらい
- モース硬度3:硬貨などでなんとか傷つけれるくらい
- モース硬度4:ナイフで簡単に傷つけれるくらい
- モース硬度5:ナイフでなんとか傷つけれるくらい
- モース硬度7:ガラスや鉄鋼、銅が逆に傷つけられるくらい
ざっくりとした表現ですが、モース硬度3までが「ふと傷つけてしまうレベル」でしょう。
モース硬度5になるとナイフで意図的にがんばって傷つけようとガリガリしてやっと傷つけれるレベルです。
さて、ここで興味深いことに気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。
モース硬度4と5の違いがハッキリしていますよね。4は”簡単に”なのに、5になっただけで”なんとか”と表現が変わります。
モース硬度が1つ違うだけでかなりの差があることが分かりますね。
ビッカース硬度で見る、モース硬度9と10の圧倒的な差
モース硬度9の次は10ですが、その差は驚くほど開いています。まったくの別物と言っても良いレベルです。
ビッカース硬度という”圧力にどれだけ強いか”を示す数字があるのですが、これをモース硬度ごとに当てはめてみると・・・
- モース硬度 = ビッカース硬度
- 1 = 50
- 2 = 60
- 3 = 140
- 4 = 200
- 5 = 650
- 6 = 700
- 7 = 1100
- 8 = 1650
- 9 = 2100
- 10 = 7000
詳しい説明は割愛しますが、モース硬度9から10になるだけでビッカース硬度は一気に跳ね上がっていますね。
いかにモース硬度10というのが圧倒的か分かります。さすがダイヤモンドといったところでしょうか。
今回はモース硬度に関して詳しく説明してみました。
普段はとくに硬度とか気にすることはないと思いますが、前述したように「モース硬度3までがふと傷つけてしまうレベル」とだけ覚えておくと便利だと思いますよ。